やってみよう。心地よい毎日のつくり方

忙しい人でも続けやすい、植物のある暮らしや香りの楽しみ方、毎日を少しラクにする工夫をまとめています

植物の冬越し対策|不織布とビニールの防寒効果をSwitchBot温湿度計で1週間計測してみた

1. はじめに

不織布やビニールでしっかり防寒したはずなのに、なぜか植物が傷んでしまう。
そんな経験はありませんか?

対策はしているのにうまくいかないと、
「これ、本当に効いているのかな?」と、だんだん不安になってきます。

私も同じで、防寒資材を使いながらも、「結局、何がどれくらい効いているのだろう?」と、疑問に思っていました。

そこで今回は、自宅の庭で、防寒資材によって温度や湿度がどのように変わるのかを、1分間隔で1週間測定してみました。

家庭用の温湿度計を使ったざっくりした実験ですが、思っていたのとは少し違う結果が見えてきました。

この記事では、そのデータをもとに、冬越し対策で本当に意識したいポイントを整理していきます。

2. 実験方法

今回の測定は、2月下旬の1週間、南東北エリアの自宅の庭で行いました。

使用したもの

  • 温湿度計
    SwitchBot 防水温湿度計を使用しました。
    温度と湿度を1分間隔で自動記録できるもので、事前に0℃での校正を行いました。

  • 不織布
    100円ショップ(ダイソー)のものを使用しました。
    比較的軽く、霜よけ用途に使われるようなタイプです。

  • ビニール
    市販の商品「多肉マンション」付属の透明ビニールを使用しました。

条件

比較したのは、次の3パターンです。

  • 被覆なし(そのまま)
  • 不織布
  • ビニール

それぞれ、地植えしたビオラの苗の近くに温湿度計を設置し、不織布やビニールは「多肉マンション」の骨組み(土台は使用せず、上部のみ)にかぶせる形で比較しました。

温湿度計は、異なる高さの環境を見るために2か所に設置しています。

  • 地上6cm(株元付近)
  • 地上17cm(葉の高さ付近)

株元は霜や地面の影響を受けやすい場所、17cmは実際に葉がある高さを想定しています。

3. 結果:最低気温そのものは大きくは変わらなかった

まずは、1週間のグラフを示します。



最も冷え込んだ夜(2/20-21)を抜粋したデータがこちらです。

測定位置 被覆なし ビニール 温度差
株元(6cm) -3.4℃ -3.0℃ +0.4℃
葉の高さ(17cm) -4.4℃ -3.5℃ +0.9℃

まず興味深かったのは、株元より葉の高さ(17cm)のほうが低温になっていたことです。

地面に近いほうが冷えそうに思っていましたが、今回の条件ではむしろ株元のほうが温度が下がりにくい傾向がありました。

また、ビニールでは一定の温度差が見られた一方、不織布は今回の条件では「被覆なし」と大きな差がありませんでした。

特に17cmでは、ビニールで約0.9℃高く、6cmより差が大きく出ています。

つまり、

  • 被覆による効果は高さによって違う可能性があります。
  • ビニールは不織布より保護効果が出やすかった可能性があります。
  • ただし最低気温そのものを大きく押し上げるほどではありませんでした。

という結果でした。

つまり、防寒資材を使っても、最低気温そのものが劇的に上がるわけではなかったということです。

もう少し温度が上がると思っていたので、予想外でした。

4. 防寒資材の本当に大事な役割とは

最低気温があまり変わらないのであれば、防寒資材には意味がないのでしょうか。

この点が気になり、少し調べてみました。

すると、植物のダメージには温度の低さだけでなく、どれくらい長く凍った状態に置かれたかや、凍結と融解を何度繰り返したかが関係していると考えられているようです。

植物の細胞では、まず細胞の外側に氷ができることが多いようです。

すると、細胞の中の水分が外へ引き出され、細胞は乾いた状態に近づいていきます。

この現象は「凍結脱水」と呼ばれています。

さらに、この状態が長く続いたり、凍ったり溶けたりを繰り返したりすると、細胞膜にダメージが蓄積し、傷みにつながるとされています。

1週間のデータを集計すると、地上17cmではビニール被覆で、凍結時間が10時間以上短縮していました。

高さ17cmの結果を見ると、被覆なしが約49.9時間に対し、ビニールは約37.7時間でした。

つまり、ビニールを使うことで、凍っている時間が1週間で10時間以上短くなっていました。

この結果から、防寒資材は植物全体を一律に温めるというよりも、地面より少し高い位置にある葉や茎の周囲で、凍結している時間を短くする方向に働いていると考えられます。

ここで気になるのが、この「10時間」という差が、植物にとってどれくらいの意味を持つのかという点です。

正直なところ、これが冬越しの成功・失敗を分けるほどの決定的な差になるのかどうかは、今回の測定だけでは分かりません。

ただ、植物の中には、その土地の寒さに対して、ぎりぎりのラインで耐えているものもあります。

そういった植物にとっては、こうしたわずかな凍結時間の差が、春を迎えられるかどうかに影響する可能性もあるのではないかと感じました。

ここまでの結果をまとめると

今回の測定から見えてきたのは、次の3点でした。

  • 防寒資材を使っても、最低気温そのものは大きくは変わりませんでした。

  • ただし、凍結している時間を短縮する効果は見られました。

  • その効果は、株元よりも少し高い位置(今回では17cm)で出やすい可能性があります。

「何度まで下がるか」だけでなく、どれだけ長く凍っているかに注目したほうが、防寒資材の意味が見えやすいのかもしれません。

5. 湿度の盲点

ビニールにはメリットがある一方で、注意したい点もあります。
それが「湿度」です。

冬は空気が乾燥しているイメージがありますが、今回の測定では、夜になると湿度はかなり高くなる傾向が見られました。

特にビニール内部では、夜間の湿度が約90%近くまで上がることもありました。

湿度が高いということは、わずかな温度低下でも水滴や霜が発生しやすい状態にあるということです。

温度が少し高いと安心してしまいがちですが、こうした「蒸れ」による高湿度は、病気の原因になるだけでなく、霜が発生しやすい環境をつくってしまう可能性もあります。

6. 温度以外にもある、防寒資材の2つの役割

数値だけでは見えにくい役割もあります。

① 霜よけ(放射冷却対策)

ここまで温度や凍結時間について見てきましたが、防寒資材の役割は、単に温度を上げることだけではありません。

大きく分けると、「霜よけ」と「風よけ」という役割があります。

まずは、冬越しでよく耳にする「霜よけ」について見ていきます。

霜ができるかどうかは、空気の温度だけでは決まりません。
ポイントになるのは、葉や地面の表面温度です。

晴れて風の弱い夜には、葉は赤外線を放出して周囲の空気よりもさらに冷え込むことがあります。
この現象を「放射冷却」と呼びます。

そのため、空気の温度が0℃以上であっても、葉の表面だけが0℃以下まで下がることがあります。

こうして冷えた葉の表面に、空気中の水蒸気が氷の結晶として付着したものが「霜」です。

不織布やビニールなどの資材は、この放射冷却をやわらげる屋根のような役割を果たします。
軒下の植物に霜が降りにくいのと同じ理屈です。

では、霜を防ぐことがなぜ重要なのでしょうか。

植物の細胞は、0℃になった瞬間にすぐ凍るわけではなく、液体のまま耐えていることがあります。
この状態は「過冷却」と呼ばれます。

しかし、葉の表面に霜という氷の粒ができると、それがきっかけとなって、細胞の凍結が一気に進んでしまうことがあります。

資材で霜を避けることは、こうした凍結の連鎖を防ぐことにもつながっています。

② 風よけ(寒風・乾燥対策)

もう一つ大切なのが、冷たい風から植物を守る「風よけ」としての役割です。

冬に冷たい風にさらされると、葉からの蒸散によって水分が失われやすくなります。

問題になるのは、冬は植物にとって水の補給が難しい季節であるという点です。

土の温度が低くなると水は動きにくくなり、さらに寒さによって根の活動も弱まります。

そのため、葉から失われた水分を根から十分に補うことができなくなります。
地面が凍っている場合には、水があっても吸収できない状態になります。

このように、水が失われる一方で補給が追いつかなくなることで、葉が傷んだり枯れたりしてしまいます。
これが「寒風害」と呼ばれる現象です。

不織布などでふんわりと覆うことで、冷たい風が直接当たるのを防ぐことができます。

その結果、葉からの水分の蒸散が抑えられ、冬の乾燥ダメージを軽減しやすくなります。

7. 株元や根を守るにはマルチングも大切

最後に、株元や根を守る対策についてです。

今回の測定では、地面に近い位置(高さ6cm)では、被覆による温度の上昇効果は大きくありませんでした。

そのため、株元や根をしっかり守りたい場合には、植物全体を覆うだけでなく、地表を直接保護する方法も重要になります。

そこで有効なのが「マルチング」です。

落ち葉やバーク堆肥などで土の表面を覆うことで、地面からの熱の放出を抑え、地中の温度低下をやわらげることができます。

地中の水や根が凍りにくくなれば、水分の吸収も維持されやすくなり、先ほどの寒風害の対策にもつながります。

葉を守るための不織布、そして根を守るためのマルチング。

この二つを組み合わせることで、冬越し対策はより安定しやすくなると感じました。

8. まとめ:冬越しは「上と下の役割分担」が大事

ここまでデータとあわせて見てきましたが、冬越しを安定させるためのポイントを整理すると、「上」と「下」で役割を分けて対策することが重要だと感じました。

上:被覆(不織布・ビニール)

被覆には、葉や茎を守る役割があります。

  • 凍結時間を短くします。
  • 霜を防ぎます。
  • 寒風をやわらげます。

下:マルチング(落ち葉・バークチップなど)

マルチングには、株元や根を守る役割があります。

  • 地温低下をやわらげます。
  • 根の凍結を防ぎます。
  • 水分吸収を助けます。

このように、葉を守る被覆と、根を守るマルチングを組み合わせることが、冬越し対策として相性のよい方法だと感じました。

被覆+マルチングの組み合わせが冬越しに有効というのはこれまでも聞いたことがありますが、今回実際に測ってみて、その意味が自分なりに腑に落ちました。

今年の防寒対策を考える時、最低気温の数字だけでなく、
「植物の負担をどう減らすか」という視点でも見てみると、少し景色が変わるかもしれません。

今回の内容が、少しでも冬越し対策のお役に立てばうれしいです。

9. 今回の測定条件について(補足)

今回使用した不織布は、100円ショップで購入した比較的軽いタイプのものです。

厚手の不織布や二重掛けなどでは、結果が異なる可能性があります。

今回の結果は、簡易的な防寒資材ではどうだったかを見た一例としてご覧ください。

また、地域や設置環境、植物の種類によっても結果は変わる可能性があります。

ただ、「最低気温だけでなく凍結時間にも注目する」という視点は、他の冬越し対策でも参考になるのではないかと考えています。